Designer's voice

オリジナルってどこまでの範囲?
ここ数日続いていた雨も止みました。お盆の休みをたんまり頂いたので元気です。 干渉パールとグリッターパールと型押しとパンチングの革(2021年7月2日更新)では墨田キールさん(工場さん)にて、コケット初めての展示会出展でお披露目した革ができるまでをお話しさせてもらいました。 そもそもオリジナルの革ってどんなことを言うのか? 今日はそれについてお話をしようと思います。 主にコケットでは牛革の表面に様々な加工をすることが多いです。と言うのも女性向けのバッグをメインにデザインしているので、女性が持つ華やかな革商品を作るため、と言うのが大きい理由。 では、加工って? 工場の墨田キールさんにお話を戻しますと、こちらの工場さんは主に染色をメインになさっていました。大きなタイコと呼ばれる樽に染料と下地と言われる革を入れて、グルングルン回して革の芯から染めるのです。芯というのは革の後ろを見てもらうとわかります。革の表の色に似た色であればそれは芯を染めています。白っぽい色であればそれは表面だけが染まっている、もしくは顔料で表面を吹き付けている革であることが多いです。 昔はカメラを買うと革製のカメラケースを一緒に揃える方が多かったそうで、それはもう革業界が大繁盛していた時代があったとか。 さて、現在墨田キールさんは染めではなく表面の加工を多くなさっています。 型押し、箔押し、吹き付け、色止め、など。 型押しも箔押しも大きな機械で何トンという圧をかけて革に押すのです。 型押しは墨田キールさんが持っているたくさんの版の中から選ばせてもらって、革に押すことを言います。刻印みたいと言うとわかりやすいですね。 そもそも工場にある版を使わせてもらうわけなので、オリジナルとは言いにくい。 ですが、下地の革の色、箔の色、版、その後に更に色を重ねるなど、どれを選ぶか、色、重ねる順番など無限に組み合わせがありますので、世の中に無い加工ができる。 こうしてできた世の中に流通していない革をオリジナルの革と呼んでいます。 コケットでブランド立ち上げ当初に作ったフルールというシリーズの革があります。イタリアで買い付けたお花の版をお持ちだった墨田キールさん。ヨーロッパの壁紙みたいなお花模様の型押しを探していたコケット。 版の見本帳からこの型押しを見つけました。聞くとイタリアで買ってきたは良いがこれをどのように使えば良いのか思いつかず、日本で一度も使用したことも無く数年ほったらかしだったとか。 この型、使わせてください!即答です。 こうしてフルールという型押しのシリーズが生まれました。 ただし、単純ではないところがコケットの加工。依頼したのはこうです。 1.牛革の下地の表面を濃い茶に吹き付けて仕上げてもらいます(色を調色してもらう→これも立派なオリジナル) 2.箔を貼る前の下処理をして箔を全体に貼ります。 3.シャンパンゴールドの箔を全体に貼ります(たくさんある箔から色を選びます) 4.お花の型を押します。 5.型押しでできたお花の盛り上がり(凸部分)だけ箔を落としてもらい、下に塗布した濃茶を浮き出させます。 6.色止めをして仕上げます。 機械を使う部分はありますが、この1から6は全て職人さん達の仕事によるものです。特に1と5は手作業になりますので、調色加減や箔の落とし加減によって色の出方が違い、裁断する場所でも柄や色も様子が変わるのです。 ふたつと同じ物がないのも面白いところ。 このフルール革を作り始めて随分経ったある日、墨田キールの社長がぽつりと仰ったことがありました。 お財布を持って工場さんにやってきたとある企業さん。それはこのフルール革で作ったコケットののお財布でした。そしてこれと全く同じ革を作って欲しいと言ったそうです(!)...
オリジナルってどこまでの範囲?
ここ数日続いていた雨も止みました。お盆の休みをたんまり頂いたので元気です。 干渉パールとグリッターパールと型押しとパンチングの革(2021年7月2日更新)では墨田キールさん(工場さん)にて、コケット初めての展示会出展でお披露目した革ができるまでをお話しさせてもらいました。 そもそもオリジナルの革ってどんなことを言うのか? 今日はそれについてお話をしようと思います。 主にコケットでは牛革の表面に様々な加工をすることが多いです。と言うのも女性向けのバッグをメインにデザインしているので、女性が持つ華やかな革商品を作るため、と言うのが大きい理由。 では、加工って? 工場の墨田キールさんにお話を戻しますと、こちらの工場さんは主に染色をメインになさっていました。大きなタイコと呼ばれる樽に染料と下地と言われる革を入れて、グルングルン回して革の芯から染めるのです。芯というのは革の後ろを見てもらうとわかります。革の表の色に似た色であればそれは芯を染めています。白っぽい色であればそれは表面だけが染まっている、もしくは顔料で表面を吹き付けている革であることが多いです。 昔はカメラを買うと革製のカメラケースを一緒に揃える方が多かったそうで、それはもう革業界が大繁盛していた時代があったとか。 さて、現在墨田キールさんは染めではなく表面の加工を多くなさっています。 型押し、箔押し、吹き付け、色止め、など。 型押しも箔押しも大きな機械で何トンという圧をかけて革に押すのです。 型押しは墨田キールさんが持っているたくさんの版の中から選ばせてもらって、革に押すことを言います。刻印みたいと言うとわかりやすいですね。 そもそも工場にある版を使わせてもらうわけなので、オリジナルとは言いにくい。 ですが、下地の革の色、箔の色、版、その後に更に色を重ねるなど、どれを選ぶか、色、重ねる順番など無限に組み合わせがありますので、世の中に無い加工ができる。 こうしてできた世の中に流通していない革をオリジナルの革と呼んでいます。 コケットでブランド立ち上げ当初に作ったフルールというシリーズの革があります。イタリアで買い付けたお花の版をお持ちだった墨田キールさん。ヨーロッパの壁紙みたいなお花模様の型押しを探していたコケット。 版の見本帳からこの型押しを見つけました。聞くとイタリアで買ってきたは良いがこれをどのように使えば良いのか思いつかず、日本で一度も使用したことも無く数年ほったらかしだったとか。 この型、使わせてください!即答です。 こうしてフルールという型押しのシリーズが生まれました。 ただし、単純ではないところがコケットの加工。依頼したのはこうです。 1.牛革の下地の表面を濃い茶に吹き付けて仕上げてもらいます(色を調色してもらう→これも立派なオリジナル) 2.箔を貼る前の下処理をして箔を全体に貼ります。 3.シャンパンゴールドの箔を全体に貼ります(たくさんある箔から色を選びます) 4.お花の型を押します。 5.型押しでできたお花の盛り上がり(凸部分)だけ箔を落としてもらい、下に塗布した濃茶を浮き出させます。 6.色止めをして仕上げます。 機械を使う部分はありますが、この1から6は全て職人さん達の仕事によるものです。特に1と5は手作業になりますので、調色加減や箔の落とし加減によって色の出方が違い、裁断する場所でも柄や色も様子が変わるのです。 ふたつと同じ物がないのも面白いところ。 このフルール革を作り始めて随分経ったある日、墨田キールの社長がぽつりと仰ったことがありました。 お財布を持って工場さんにやってきたとある企業さん。それはこのフルール革で作ったコケットののお財布でした。そしてこれと全く同じ革を作って欲しいと言ったそうです(!)...

私の好きなもの お肉編
デザイナーっぽく、かっこいいブログを目指していましたが早くも脱線。たまにこういう内容でもいいですよね。 私の心と体を作っていると言っても過言ではない大好きなもの。 今回は私のルーツでもあり大好物について書こうと思います。 私の好きなもの 「お肉」編 いつもよりも熱が入りそうな予感(笑) 1964年、東京オリンピックの年に石川県金沢市に開店したステーキ店があります。席数カウンターの8席。メニューはヒレステーキのみ。ご飯無し。 ステーキの店「ひよこ」 なぜステーキなのにひよこ?なのかという疑問は、是非店主に聞いて欲しい。 ノリよく話してくれると思います。私の父が。 そうです、私の実家はステーキ店を営んでいます。 お肉の偏愛っぷりについては、私の人生どこを切り取っても語れるのですが、今日は記憶の中でも幼少期のエピソードをひとつ。 通っていた保育園で親子参加のバス遠足がありました。お母さんと参加している親子が多い中、母が妹の出産を控えていたものですから父と参加した私。 山の麓にある広い森林公園だったと思います。芝生があり、遊具も何もないのに子供達は全力で走り回って遊ぶ、そんな遠足だったかと。 着く頃にはちょうどお昼になり、各々がシートを広げてお楽しみのお弁当タイム。 父が私に言いました。これを先生たちに渡してきて。 渡されたのは今でも変わっていない持ち帰り用のステーキの店ひよこと書かれた青い紙袋。走って先生方のところに届けます。日頃おてんば娘が2人お世話になっているので(姉も同じ園児)父からの差し入れですね。これ、お父さんから。と伝えてまた走って戻ります。 なぜ走ったのか。紙袋に入っていたアレを見たからです。先生方がわぁーっと歓声を上げたあれステーキサンドイッチを! (ビフテキサンドと呼んでいました) 食パンに分厚いステーキが挟んであり、パンに肉汁がいい具合に染みた部分が少し茶色になっています。バスの中でもバターと焼けたお肉のいい匂いがしていましたので、うすうす気がついていました。 父のところに戻って、いざお弁当タイム。 ところが!私たちのお弁当は、おにぎりや、タコさんウインナーなど、子供の遠足の定番、ビフテキサンドがありません。 店があるため、週に1度しか顔を合わせない父を独り占めでき、嬉しくて楽しみにしていた遠足よりも、私はビフテキサンドが食べられなかった方を鮮明に覚えている。 あっちの方が良かった、、、そう思ったのでした。 そんなこんなで、割とお肉は身近な食べ物だったので筋肉質で胃が強く、コレステロール値が高めな大人になり、家族で焼肉に行ったことがなくても不思議に思ったこともなく、20歳を超えてからデートで初めて焼肉を食べた時の牛タンがあまりに薄いことに衝撃を覚え、BBQをするのが大好きで、お肉の塊を焼くのが得意で、食いしん坊な人間になりました。 好きなお肉はヒレ、赤身。 特技、お肉の塊を焼くこと。 以上、私の好きなものでした。 父の話は度々出てくると思いますー。...
私の好きなもの お肉編
デザイナーっぽく、かっこいいブログを目指していましたが早くも脱線。たまにこういう内容でもいいですよね。 私の心と体を作っていると言っても過言ではない大好きなもの。 今回は私のルーツでもあり大好物について書こうと思います。 私の好きなもの 「お肉」編 いつもよりも熱が入りそうな予感(笑) 1964年、東京オリンピックの年に石川県金沢市に開店したステーキ店があります。席数カウンターの8席。メニューはヒレステーキのみ。ご飯無し。 ステーキの店「ひよこ」 なぜステーキなのにひよこ?なのかという疑問は、是非店主に聞いて欲しい。 ノリよく話してくれると思います。私の父が。 そうです、私の実家はステーキ店を営んでいます。 お肉の偏愛っぷりについては、私の人生どこを切り取っても語れるのですが、今日は記憶の中でも幼少期のエピソードをひとつ。 通っていた保育園で親子参加のバス遠足がありました。お母さんと参加している親子が多い中、母が妹の出産を控えていたものですから父と参加した私。 山の麓にある広い森林公園だったと思います。芝生があり、遊具も何もないのに子供達は全力で走り回って遊ぶ、そんな遠足だったかと。 着く頃にはちょうどお昼になり、各々がシートを広げてお楽しみのお弁当タイム。 父が私に言いました。これを先生たちに渡してきて。 渡されたのは今でも変わっていない持ち帰り用のステーキの店ひよこと書かれた青い紙袋。走って先生方のところに届けます。日頃おてんば娘が2人お世話になっているので(姉も同じ園児)父からの差し入れですね。これ、お父さんから。と伝えてまた走って戻ります。 なぜ走ったのか。紙袋に入っていたアレを見たからです。先生方がわぁーっと歓声を上げたあれステーキサンドイッチを! (ビフテキサンドと呼んでいました) 食パンに分厚いステーキが挟んであり、パンに肉汁がいい具合に染みた部分が少し茶色になっています。バスの中でもバターと焼けたお肉のいい匂いがしていましたので、うすうす気がついていました。 父のところに戻って、いざお弁当タイム。 ところが!私たちのお弁当は、おにぎりや、タコさんウインナーなど、子供の遠足の定番、ビフテキサンドがありません。 店があるため、週に1度しか顔を合わせない父を独り占めでき、嬉しくて楽しみにしていた遠足よりも、私はビフテキサンドが食べられなかった方を鮮明に覚えている。 あっちの方が良かった、、、そう思ったのでした。 そんなこんなで、割とお肉は身近な食べ物だったので筋肉質で胃が強く、コレステロール値が高めな大人になり、家族で焼肉に行ったことがなくても不思議に思ったこともなく、20歳を超えてからデートで初めて焼肉を食べた時の牛タンがあまりに薄いことに衝撃を覚え、BBQをするのが大好きで、お肉の塊を焼くのが得意で、食いしん坊な人間になりました。 好きなお肉はヒレ、赤身。 特技、お肉の塊を焼くこと。 以上、私の好きなものでした。 父の話は度々出てくると思いますー。...

干渉パールとグリッターパールと型押しとパンチングの革
朝からずっと雨。こんな日はブログを書くのに良いですね。 今日は「オリジナルの素材」(2021年 6月 12日更新)の続きを書こうと思います。 デザイナーズビレッジの鈴木村長に紹介してもらい訪ねたのは墨田キール。キールはフランス語で革の意味。墨田は墨田区にあるから。 社長に革のサンプルを作りたいと話すや否や、すぐに立ち上がり4階に行きましょうと、外階段を登って屋上の秘密基地のような作業部屋に行きました。 「三木さん、この人がサンプル作りたいんだってー」 え?え?作ってくれるの?? 三木さん、三木さんが作ってくれるの?あとはこの人に詳しく話してみて、とだけ言って立ち去る社長。 キツネにつままれたような面持ちだったであろう私に、三木さん 「どんなのが作りたいんだって?」と無表情です。 怖そう、The職人って感じ。 内心びくびくしながら ベージュをベースに干渉パールのグリーンを効かせて、赤みのグリッターパールも入れて、赤でチラチラと点在させるような革。出来上がりのイメージは淡いグリーン。それと、、もう1色、、、。 面倒だったと思います。色んな意味で(笑) 干渉パールは例えると真珠のような輝きのあるパールで、グリッターパールは大粒で表面にチカチカした輝きを与えるパールです。グリーンベースにグリーンの干渉パールを入れると濃いグリーンになるので、あえてベースはベージュ色にして、干渉パールが同化しないようにし、赤のグリッターはグリーンと反対色なので、より点在の存在が増すように考えた色。 めんどくさいな〜と言いながら、ずらりと並んだ一斗缶から顔料などの色材とパールを混ぜて撹拌して、コンプレッサーを差し込むと革にシュシュっと吹き付けて、私にその革をほいっと渡してくれました。その間数分のできごと。 えーーー!びっくり!イメージ通りです。 今でもあの感動ははっきり覚えています。 サンプルを作ってもらえるところが見つかったとしても、実はそこからの大変さも覚悟していました。 色を作るってとても感覚的な仕事です。世の中に無いものを作ろうとしているのだから、これです、と言えるものが無いわけです。出来上がりのイメージが共有できないとゴールできない色の感覚。 ですが、口頭で伝えただけのイメージで、思い描いていた色が目の前に出来ている。 会社員時代に何度もこの調色という作業の難しさを体験してきた私でしたが 一発でこれ!という色が出せる職人さんに巡り会えた感動たるや。 見つけた!!と心の中でガッツポーズです。 オリジナルの革が誕生した瞬間でした。 その革には更にペイズリーの型押しと、丸いパンチングを施し、とても複雑で手の込んだ加工の革が出来上がります。その2ヶ月後この革でトートを作り展示会にお披露目しました。 あれから18年。墨田キールさんとは、もうすっかり長いおつきあいになりました。数々のバッグも作ってきたので革の仕入れ先は広がりましたが、今でも作りたい革があると墨田キールさんを頼っています。 そして4階を訪ねて帰る時、職人の三木さんとは 「また来まーす」 「もう来なくていいよ」...
干渉パールとグリッターパールと型押しとパンチングの革
朝からずっと雨。こんな日はブログを書くのに良いですね。 今日は「オリジナルの素材」(2021年 6月 12日更新)の続きを書こうと思います。 デザイナーズビレッジの鈴木村長に紹介してもらい訪ねたのは墨田キール。キールはフランス語で革の意味。墨田は墨田区にあるから。 社長に革のサンプルを作りたいと話すや否や、すぐに立ち上がり4階に行きましょうと、外階段を登って屋上の秘密基地のような作業部屋に行きました。 「三木さん、この人がサンプル作りたいんだってー」 え?え?作ってくれるの?? 三木さん、三木さんが作ってくれるの?あとはこの人に詳しく話してみて、とだけ言って立ち去る社長。 キツネにつままれたような面持ちだったであろう私に、三木さん 「どんなのが作りたいんだって?」と無表情です。 怖そう、The職人って感じ。 内心びくびくしながら ベージュをベースに干渉パールのグリーンを効かせて、赤みのグリッターパールも入れて、赤でチラチラと点在させるような革。出来上がりのイメージは淡いグリーン。それと、、もう1色、、、。 面倒だったと思います。色んな意味で(笑) 干渉パールは例えると真珠のような輝きのあるパールで、グリッターパールは大粒で表面にチカチカした輝きを与えるパールです。グリーンベースにグリーンの干渉パールを入れると濃いグリーンになるので、あえてベースはベージュ色にして、干渉パールが同化しないようにし、赤のグリッターはグリーンと反対色なので、より点在の存在が増すように考えた色。 めんどくさいな〜と言いながら、ずらりと並んだ一斗缶から顔料などの色材とパールを混ぜて撹拌して、コンプレッサーを差し込むと革にシュシュっと吹き付けて、私にその革をほいっと渡してくれました。その間数分のできごと。 えーーー!びっくり!イメージ通りです。 今でもあの感動ははっきり覚えています。 サンプルを作ってもらえるところが見つかったとしても、実はそこからの大変さも覚悟していました。 色を作るってとても感覚的な仕事です。世の中に無いものを作ろうとしているのだから、これです、と言えるものが無いわけです。出来上がりのイメージが共有できないとゴールできない色の感覚。 ですが、口頭で伝えただけのイメージで、思い描いていた色が目の前に出来ている。 会社員時代に何度もこの調色という作業の難しさを体験してきた私でしたが 一発でこれ!という色が出せる職人さんに巡り会えた感動たるや。 見つけた!!と心の中でガッツポーズです。 オリジナルの革が誕生した瞬間でした。 その革には更にペイズリーの型押しと、丸いパンチングを施し、とても複雑で手の込んだ加工の革が出来上がります。その2ヶ月後この革でトートを作り展示会にお披露目しました。 あれから18年。墨田キールさんとは、もうすっかり長いおつきあいになりました。数々のバッグも作ってきたので革の仕入れ先は広がりましたが、今でも作りたい革があると墨田キールさんを頼っています。 そして4階を訪ねて帰る時、職人の三木さんとは 「また来まーす」 「もう来なくていいよ」...

ブランドを始めたきっかけ vol.3 「NYでのできごと」編
vol.2では、バッグを代官山のお店に置いてもらうようになったお話でした。 ブランドを始めたきっかけ 「NYでのできごと」編 さて、数点が売れて気をよくしていた私でしたが、まだ化粧品会社に勤める会社員。 漠然とバッグに興味を持ちつつも、当然ながら社員としての仕事が待っています。 1時間20分の満員電車で通勤の日々。 当時、海外向けの化粧品をいくつか担当していたこともあって、度々海外出張がありました。多い時で2ヶ月に1度NYや、半月行きっぱなしのパリ、NY、香港、相撲巡業みたいな出張も。 (この貴重な経験、その後の私の糧になっています) NY出張では打ち合わせ以外ほとんどの時間を、5番街の百貨店やSOHOのおしゃれセレクトショップなどの市場調査に費やします。 マンハッタンの北から南と、ひたすら歩き回ります。バッグはもちろん自作のバッグ。 パッケージも可愛く、魅力的な色揃えの化粧品を見て試したり、人気のお店に入ったり。 こうして肌で感じる海外、まだ20代だった私。 それはもう刺激でいっぱいです。見るもの全てが楽しくて魅力的に見えました。 ある日のこと。 お店、百貨店、と立て続けに1日に3人、そのバッグどこの?と聞かれました。 百貨店にお勤めの販売員さんには、今ここで買うからそのバッグ売って!とも(さすが自由の国) SOHOのセレクトショップに入った時です。販売の方に、オーナー兼バイヤーにコンタクト取りたかったら聞いてみようか?というような出来事もありました。 え?なに、私が作ったバッグ、どうしたどうした?代官山で売れた、NYでも声をかけてくれる! 意外に私のバッグ行けちゃう?? 気分良く無事に帰国後、心の中で沸々と湧き上がってくるものを感じるようになってきます。 でも、それはとんでもない大きな勘違いだったと、後で思い知ることになるのでした。
ブランドを始めたきっかけ vol.3 「NYでのできごと」編
vol.2では、バッグを代官山のお店に置いてもらうようになったお話でした。 ブランドを始めたきっかけ 「NYでのできごと」編 さて、数点が売れて気をよくしていた私でしたが、まだ化粧品会社に勤める会社員。 漠然とバッグに興味を持ちつつも、当然ながら社員としての仕事が待っています。 1時間20分の満員電車で通勤の日々。 当時、海外向けの化粧品をいくつか担当していたこともあって、度々海外出張がありました。多い時で2ヶ月に1度NYや、半月行きっぱなしのパリ、NY、香港、相撲巡業みたいな出張も。 (この貴重な経験、その後の私の糧になっています) NY出張では打ち合わせ以外ほとんどの時間を、5番街の百貨店やSOHOのおしゃれセレクトショップなどの市場調査に費やします。 マンハッタンの北から南と、ひたすら歩き回ります。バッグはもちろん自作のバッグ。 パッケージも可愛く、魅力的な色揃えの化粧品を見て試したり、人気のお店に入ったり。 こうして肌で感じる海外、まだ20代だった私。 それはもう刺激でいっぱいです。見るもの全てが楽しくて魅力的に見えました。 ある日のこと。 お店、百貨店、と立て続けに1日に3人、そのバッグどこの?と聞かれました。 百貨店にお勤めの販売員さんには、今ここで買うからそのバッグ売って!とも(さすが自由の国) SOHOのセレクトショップに入った時です。販売の方に、オーナー兼バイヤーにコンタクト取りたかったら聞いてみようか?というような出来事もありました。 え?なに、私が作ったバッグ、どうしたどうした?代官山で売れた、NYでも声をかけてくれる! 意外に私のバッグ行けちゃう?? 気分良く無事に帰国後、心の中で沸々と湧き上がってくるものを感じるようになってきます。 でも、それはとんでもない大きな勘違いだったと、後で思い知ることになるのでした。

ブランドを始めたきっかけ Vol.2 「バッグが売れた!」編
vol.1では本当にこれなの?という内容でした。本当です。どうしてバッグを作ると言ったのか思い出せません。 運命の決意。 ですが続きがあります。バッグを作り始めてから独立するまでには、やはり数年を必要としました。 ブランドを始めたきっかけ 「バッグが売れた!」編 自作のバッグを持ち歩く様になった私。会社にもそれで通勤します。 当時はハイブランドのバッグを持つ女性が多い会社でしたので、それどこの?と聞かれます。 どこのでもない無名のバッグ、しかも自作(笑) それはそれでかっこいいかもしれませんが、縫い方が悪くて糸が出ていたり、重いものを入れたら底が抜けたりですから、根本的に物を入れて運ぶ役割が成り立っていない。 それでも、なんだか楽しくて作っては同僚に見せ、だんだん上手くなってきたねと言ってもらえたり、私にも作ってと言われたり。皆さんお優しい。 そんな中、とても尊敬していた先輩が会社を辞め代官山でセレクトショップをOpenさせます。代官山がおしゃれスポットになった頃。NYのSOHOが注目され、倉庫を素敵に改装したお店が話題になり、セレクトショップという言葉が使われ始めたのもその頃でした。 センスが良くて、立ち振る舞いや身のこなしも素敵な先輩。一言で言うとParisが歩いている様な女性。お店の名前もフランス語でしたし。当時のおしゃれ雑誌には、毎月と言っていいほどお店が掲載されていたと思います。 で、私にバッグを置いてみないかと声をかけてくれました、そのマダムパリ。 いいんですか??お店になんて考えたこともなかったので快諾です。 早速7,8点ほど作って見てもらい、全部お店に置いてみましょうとなりました。 2ヶ月ほど経過した頃、数点売れたと連絡があります。私が作ったバッグが売れた! びっくりと嬉しさが入り混じった不思議が感覚でした。知らない誰かが持っているってふわふわした感じ。 そして言われたのが、ネームを付けたらいいんじゃない?ということでした。 バッグの内側についている織ネームですね。刻印された物もありますが、自分の名前やバッグブランド名を印として付けるのです。 こうすると、ブランドとしての責任が持て見え方も違って見える。今後もバッグを作っていこうと思うならそうしてみたら?という提案でした。 マダムパリ、バリバリの化粧品商品開発者でしたので、その視点と、お店を経営する立場からの言葉だったと思います。 ブランド、、、自分の。 ブランドという言葉をとても意識する様になります。意味も含めて。 で、速攻作りました。織ネーム。もう名前も決めていましたので。 当時から既にCoquetteです。名前の由来はまた別の機会にすることにして。 数点売れた私は気を良くします。 それに比例して自宅はどんどん生地だらけになっていくのでした。 最初の頃に作ったバッグ。
ブランドを始めたきっかけ Vol.2 「バッグが売れた!」編
vol.1では本当にこれなの?という内容でした。本当です。どうしてバッグを作ると言ったのか思い出せません。 運命の決意。 ですが続きがあります。バッグを作り始めてから独立するまでには、やはり数年を必要としました。 ブランドを始めたきっかけ 「バッグが売れた!」編 自作のバッグを持ち歩く様になった私。会社にもそれで通勤します。 当時はハイブランドのバッグを持つ女性が多い会社でしたので、それどこの?と聞かれます。 どこのでもない無名のバッグ、しかも自作(笑) それはそれでかっこいいかもしれませんが、縫い方が悪くて糸が出ていたり、重いものを入れたら底が抜けたりですから、根本的に物を入れて運ぶ役割が成り立っていない。 それでも、なんだか楽しくて作っては同僚に見せ、だんだん上手くなってきたねと言ってもらえたり、私にも作ってと言われたり。皆さんお優しい。 そんな中、とても尊敬していた先輩が会社を辞め代官山でセレクトショップをOpenさせます。代官山がおしゃれスポットになった頃。NYのSOHOが注目され、倉庫を素敵に改装したお店が話題になり、セレクトショップという言葉が使われ始めたのもその頃でした。 センスが良くて、立ち振る舞いや身のこなしも素敵な先輩。一言で言うとParisが歩いている様な女性。お店の名前もフランス語でしたし。当時のおしゃれ雑誌には、毎月と言っていいほどお店が掲載されていたと思います。 で、私にバッグを置いてみないかと声をかけてくれました、そのマダムパリ。 いいんですか??お店になんて考えたこともなかったので快諾です。 早速7,8点ほど作って見てもらい、全部お店に置いてみましょうとなりました。 2ヶ月ほど経過した頃、数点売れたと連絡があります。私が作ったバッグが売れた! びっくりと嬉しさが入り混じった不思議が感覚でした。知らない誰かが持っているってふわふわした感じ。 そして言われたのが、ネームを付けたらいいんじゃない?ということでした。 バッグの内側についている織ネームですね。刻印された物もありますが、自分の名前やバッグブランド名を印として付けるのです。 こうすると、ブランドとしての責任が持て見え方も違って見える。今後もバッグを作っていこうと思うならそうしてみたら?という提案でした。 マダムパリ、バリバリの化粧品商品開発者でしたので、その視点と、お店を経営する立場からの言葉だったと思います。 ブランド、、、自分の。 ブランドという言葉をとても意識する様になります。意味も含めて。 で、速攻作りました。織ネーム。もう名前も決めていましたので。 当時から既にCoquetteです。名前の由来はまた別の機会にすることにして。 数点売れた私は気を良くします。 それに比例して自宅はどんどん生地だらけになっていくのでした。 最初の頃に作ったバッグ。

オリジナルの素材について
ブランドを初めたきっかけvol.2は後日続きを書くことにしまして。 さて、独立して真っ先に取り掛かったのは、オリジナルの革を作ることでした。 どこにもない、世の中に出ていない革でバッグを作る。 まだ何者でもない、バッグブランド立ち上げましたと言っているだけで、 世の中にはハイブランドから新進気鋭のブランドまでバッグで溢れている。 新参者の私が、自分でデザインしたバッグですと自信を持って言えるには 「オリジナルの革を特徴にする」それが最初にやるべきことと決めていました。 さて、革、作ってくれるところを探し出します私。まだそこです。 革は革屋さんで買うもの、まずは革屋さんに行ってみよう。 訪ねて行けるお店は個人でも買えるお店でしたので、みんなが買えるわけです。 趣味の方も買える。 実際に並んでいた革は既に大手のバッグブランドでも使われているものもたくさんありました。 使っても良いから売っているのですが、どこかで見たことあると思われたくない。 でも他を知りません。 恐る恐る聞いてみます。 質問返しで、どんなバッグを作っているの? これからです。 バッグの会社に勤めていて独立したの? いえ、全くの異業種からです。 場所を変え、革問屋さんを変えても同じ質問の繰り返しです。うちじゃあ難しいと思うよ。丁寧にお断りをされることの繰り返しです。 今思えば革のことを知らない素人が無謀なことを言っていると思っていたでしょうね。 この中から選んだら?これじゃダメなの? 作りたいイメージははっきりしていても革の知識が全くなかったので、何が難しくて作るよと言ってもらえないのか理解できないのです。 まぁ、オリジナルで作れないこともないけどね。1000デシからならね 。(1デシ=10cm四方のサイズ。1デシ○○○円という革のサイズ表記と金額の単位) やっと理解できました。まず最初にクリアすべきはロットの問題だ。難しさはそれだけではありませんが、工場の機械を動かすためにはある程度の量が必要なのです。革のロット、初耳です。 少し大きめのバッグ1本に80から100デシくらいだとして 1000デシですか、、、それは色込みですか?? いやいや1色1000デシ。3色3種類くらい作るなら3倍ってことだよね。 1000デシあれば8本から10本少し大きめのバッグが作れます。1種類1色ならともかく、3種3色作るとしたら9000デシ。...
オリジナルの素材について
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